自毛植毛をする前に読んでおきたい基礎知識とリスク

2020/06/30

  • AGA・薄毛
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年々増え続ける薄毛問題。薄毛治療の一種として行われる「自毛植毛」ですが、正しい知識を身に付けてなければ失敗して悲惨な結果に終わってしまうこともあります。まずは、自毛植毛がどんなものなのか、リスクやデメリットもしっかり把握しておきましょう。ここでは自毛植毛治療を検討している方のために植毛についてのあれこれをご紹介します。

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監修
恵比寿美容クリニック
理事長 堀江 義明

ドクター紹介

自毛植毛とは

最近は薄毛治療として「植毛」という言葉を美容皮膚科のCMなどでよく見かけますよね。薄毛やAGA、FAGAに悩む方たちが、育毛剤や投薬治療、メソセラピーなどを試してもあまり効果を得られなかったという場合に、視野を広げてこの植毛を検討する方が多いです。

植毛とは、頭皮に毛髪を埋め込んで薄毛を改善する治療で、外科手術が必要となる医療行為となります。この植毛には「人毛植毛」と「人工植毛」の2つに分かれます。

 

人毛植毛は、名前の通り人毛を使った植毛になり、自分の頭髪の量が多い所の頭皮から薄い所へと移植し、毛をよみがえらせる手術となります。自分の毛を使用しての植え付けになりますので、拒絶反応を示すこともなく安心です。頭皮ごとの移し替えになるので一度植え付けを行うと、半永久的に生え続けてくれ、メンテナンス等の必要もありません。自分が本来持っている毛髪ですので、移植を行わない部分との違いもなく、自然な仕上がり、ナチュラルな状態を保つことが出来ます。

人工植毛は、人毛と異なりポリエステルやナイロンなどの合成繊維で作られた毛を使用して、特殊な針を薄い部分・気になる部分に縫い付ける手法になります。この人工植毛は元々、何らかの原因で頭皮を負傷し髪の毛を失くしてしまった人のためにはじめられた治療です。自分の髪の量が多いことが前提で行う人毛植毛とは違い、髪の量に左右されず、全くないといった方でも薄毛・AGAの治療が出来ることになります。また、髪色や長さも選択することが可能ですので理想のヘアスタイルを叶えることが可能です。

 

このように人工植毛・人毛植毛ともにメリットとデメリットが存在しますが、安全性の高い人毛植毛を希望される方が多いと言われています。

次は、人毛植毛の治療法を見ていきましょう。

 

自毛植毛の主となる2つの治療法

検査する医者

安全性が高いと言われている自毛植毛治療には「FUE法」と「FUT法」の2つの施術法があります。名前はよく似ていますが、術式は全然違いますので注意しながら自分に最適な治療法を見つけていきましょう。

 

FUE法

FUE法とはメスを使わずに植毛を行う施術法となります。このFUEとはフォリキュラーユニットエクストラクションの略語となり、フォリキュラーユニット=毛包の単位、エクストラクション=抽出といった意味です。

自毛植毛術が生み出されたときの最初の術式で歴史は長く、後ほどご紹介するFUT方に比べてこの施術を得意・ベテランとする医師も多く存在しています。

まず、移植する髪を採取する際に、特殊な機器であるくり抜き用パンチを使用して頭皮を1㎜程度抜き取り、ドナーを採取していきます。その後、薄毛やAGAとなる部分に移植していくことになるのです。傷口は1㎜程度ととても小さい傷口ですので、縫合することもありませんし、傷が目立ってしまうこともありません。そのため、切り傷のように自然と治癒していくことを待つだけという事になるのです。

1回に採取する本数は1本ではなく、毛穴単位(毛方単位)で複数箇所から採取していきます。しかし、1回に採取する毛髪には制限があり、場合によっては2回の手術が必要とすることもあるので、制限があることは覚えておいてください。このことから、薄毛の気になる部分が狭いという方にはおすすめの術式と言えるでしょう。

FUE法移植の場合、毛髪の定着率は約70~80%と言われており、高い定着率を期待することが出来ます。

メスを使用しない術式なので、手術に対して恐怖心を抱く方からも人気を集めています。

※毛穴単位とは1つの毛穴を指し、毛穴によっては1~4本の毛が生えている。

 

FUT法

FUE法とは異なり、メスを使用した術式となり、FUEとはフォリキュラーユニットトランスプラテーションとの略語で、フォリキュラーユニット=毛包の単位、トランスプラテーション=移植という意味になります。FUE法より新しい術式ですが、世界中で一般的に知られ、こちらの術式を取り入れているクリニックが多いです。

ドナー採取箇所の髪を刈りこみ、植毛する株数に合わせて後頭部の皮膚ごと帯状に切り取り、ドナーを採取します。皮膚ごと切り抜くことで毛根を切断する可能性が少なくすみます。その後、マンティスという顕微鏡を使用して1本毛・2本毛・3本毛・4本毛とマイクロ・グラフト単位まで切り分け(株分け)していくのです。そして、薄毛・AGAなどの移植部分にメスで切り込みを入れ(スリットまたはホール)、切り分けた株を最適な場所へとピンセットを使用して移植します。

1回に切り取る部分量が多く、広い面積で移植が可能となり、薄毛が広範囲に及ぶ人にはおすすめです。

ドナー採取箇所である皮膚を切り取った部分は、切り取った後に上下の皮膚を引っ張りながら糸やホッチキスを使用して縫合していきます。縫合方法はクリニックや医師によって異なり、縫合に使用する糸においても抜糸が不必要な糸と必要な糸がありますので、場合によっては術後に抜糸を行わなければなりません。

FUT法はFUE法に比べて、傷跡が大きいですので、傷跡が残ってしまう可能性もあります。しかし、85%~90%と非常に高い定着率を誇っているのが特徴です。

※グラフトとは1つの毛穴の事で、FUEのような毛包単位ごとではなくマイクロ・グラフトは直径単位で採取する方法になります。マイクロ・グラフト単位は直径1㎜ほどです。ちなみに、グラフトにはマイクロの他に、マイクロミニ・ミニ・パンチと判れており、マイクロは一番小さい直径となります。

 

気になる費用は?

海外のお金

自毛植毛は薄毛・AGAの治療として高い効果を得ることが出来ますが、一番気になるところは費用ですよね。

AGA治療において内服薬もありますから、保険適用なのでは?と思う人も多いですが、残念ながら保険適用外の治療となります。なぜなら、AGAは男性ホルモンによる生理現象であると考えられているからです。そのため、美容整形やインプラントや歯の矯正などと同じ自由診療になります。ただし、精神的疾患が原因とするものや他の疾患が原因・副作用での薄毛となる場合は医療費控除が認められるケースがありますので、税務署に相談してみることも良いでしょう。

保険適用外の治療となれば、治療を行う前にしっかりと費用を把握しておきたいところです。

 

基本的に植毛の費用は2本1株(1グラフト)として株数により価格が設定されており、クリニックごとに多少金額のばらつきがあります。だいたいの相場は1000グラフト当たり約600,000円~2,000,000円です。

 

費用の相場は以下の通りです。

①生え際が薄いM字薄毛と言われるタイプ

M字と言われる額の一部であり、比較的範囲が狭いですので移植に必要なグラフトは200~600となります。

費用:200,000円~800,000円程

 

②生え際(M字)と頭頂部が薄毛のタイプ

生え際のみと頭頂部の植毛ですので、必然的にM字タイプより費用がかさみます。必要とされるグラフト数は1000~2000程です。

費用:1,000,000円~2,500,000円程

 

③頭頂部のみの薄毛タイプ

頭頂部が薄いO字タイプの薄毛になります。つむじまわりが気になる、つむじの渦が大きく感じるといった方はこのタイプと考えられるでしょう。この場合は、500~1500グラフトが費用です。

費用:600,000円~2,000,000円程

 

④生え際から頭頂部が薄いタイプ

M字と異なり、額から頭頂部に向かってU字型に髪が薄い状態です。例えばバーコード頭と呼ばれるものも、このタイプと言えます。移植が必要となる範囲が広範囲に及ぶためグラフト数は2000~3000と多くなります。

費用:2,000,000円~4,000,000円

 

 

上記の費用は植毛を行う平均的な金額を記載していますが、FUT法・FUE法によっても金額が異なってきます。

自毛植毛を行った方は100グラフト~1000グラフトを必要とする方が多いようですので、以下の金額は100~1000グラフトの術式別の相場費用です。

FUE法(メスを使用しない術式):280,000円~1,000,000円
FUT法(メスを使用した術式):320,000円~1,400,000円

 

あくまでも一般的な相場になり、範囲や密度によっても変動するため、自毛植毛を考えている方は、治療前に明確な費用を確認しておきましょう。

 

知っておきたい自毛植毛のリスクとデメリット

シャワーを浴びる男性

最近はメディアで自毛植毛は自然な仕上がりや定着率が高くて薄毛改善に大きな期待を持つことができると紹介されることが多く、メリットだけに目が行きます。しかし、メリットだけを信じてリスクやデメリットをきちんと把握せず後悔したという人も少なくありません。せっかく高い治療費を払うのだからこそ、正しい知識を身に付つけて、リスクやデメリットを含めた理解をして挑みたいですよね。

ここでは、自毛植毛に伴うリスクやデメリットについてお話します。

 

<リスク>

①傷跡が残る可能性あり

まずはメスを入れた術式で行うFUT法でのリスクです。前述したとおり、この術式は後頭部や側頭部の一部を皮膚ごと剥がし取り、薄い部分へと移植するわけですので、当然剥がしとった上下の皮膚を引っ張りあい縫合を行わなければなりません。その際に、縦数ミリ・横数センチの縫合した傷跡が残ります。術後半年もすれば目立たなくはなりますが、坊主頭にした場合には傷跡が1本の線のように目立つ可能性があります。坊主や刈り上げない限り目立つことはなく、日常生活に支障をきたすものではありませんし、美容室で散髪をしてもらう際も気づかれにくいほどです。

次に、メスを入れない術式で行うFUE法の傷跡リスクです。皮膚ごとベロっと剥がすわけではありませんので、1本の線のような傷跡は残りませんが、パンチと呼ばれる小さい円状の器具を使用してくり抜くので斑点状の小さな傷が残ります。殆ど傷跡が残ることはないと言われていますが、場合によってはポコッと皮膚が盛り上がったようなケロイド状態になる可能性があるのです。

 

②不自然な仕上がりになることも

自分の毛髪を移植するのだから不自然な仕上がりにはならないと思う方が多いようですが、実は生え際や抽出した毛髪部分の毛質と移植する部分の毛質が異なることもあります。中でも生え際においては、元の生え際と移植部分の生え際が不自然な隙間が出来たり、元の生え際は緩やかに孤を描いているのに移植した生え際は直線的といった不自然さが生まれる可能性があるのです。

また、抽出した部分が硬い髪質なのに比べ、移植する場所は柔らかい髪質と両方の髪質が異なる場合や、密度の違いでさえ不自然な仕上がりを招いてしまいます。

 

③定着率が下がる可能性も

自分自身の毛髪を移植するわけですが、人工植毛のように拒否反応を起こすこともなく移植が成功するわけではありません。医師の技術・ドナー採取の際に毛根を傷つける・移植時に過剰に密度を上げようとしてしまうと定着する毛髪が少なくなることもあります。そのため、高い医師の技術と施術前の念入りな治療方針の確認などが大切です。

 

④後遺症もあり得る

最初に説明した通り、自毛植毛は外科手術となります。そのため、後遺症が発症することも考えられるのです。後遺症の症状としては、皮膚がひっぱられるような「つっぱり感」「頭皮の違和感」「頭皮の凹み」、患部の「腫れ」「化膿」「痛み」「かゆみ」などになります。後遺症は、自毛植毛を行ったら必ず発症するという訳ではありませんが、このような後遺症があることは念頭に置いておいてください。

 

⑤合併症を引き起こすことも

合併症と言っても発症頻度は1%以下と非常に低いですので、あまり心配する必要はないかと思いますが、念のため把握しておきましょう。考えられる合併症は術中の不整脈・心臓発作・しゃっくり、術後の痺れ・知覚過敏・顔のむくみなどがあります。

 

<デメリット>

①手術には時間がかかる

手術が行われる当日は、手術の説明・プランの確認から始まり、ドナー採取・株分け・移植・術後処置が一連の流れです。植毛する本数によっても差はありますが、この一連の流れで3時間から、長いときは7時間に及ぶケースもあります。ただし、殆どのクリニックは日帰りが可能です。

 

②高額な費用

自毛植毛の費用については先程説明した通り、場合によっては100万以上の費用が必要となります。

 

③術後の制限あり

FUT法・FUE法ともに後頭部や側頭部を切除やくり抜きダメージを受けますので、術後1週間程は患部を枕に付けて寝ることは出来ません。また、当日の入浴は可能ですが、約1週間はシャンプーを避けたほうが良いでしょう。

その他にも、パーマやカラー・整髪料の使用・飲酒や喫煙などの制約もあります。

 

失敗しないために。適切な薄毛治療を見つけよう

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薄毛やAGA・FAGAをどうにかしたい!と悩み、自毛植毛の事を知りたいと思いこちらを読んでいるかと思います。しかし、リスクやデメリットを目にすることで治療に対して不安を感じた方も多いでしょう。

薄毛は改善したいけど、失敗する治療は避けたい。そう思うのが普通です。無事に成功させるためにも、3つの事に注意しながら、最適な治療を受けることが大切となります。

 

正しい知識を身に付ける

メリットや成功事例だけに目を向けて勢いで治療に挑むのではなく、自毛植毛に必要な知識をしっかり身に付けましょう。また、無料カウンセリングなどを積極的に利用して質問してみることも良いです。

 

理解すること

治療法やデメリットなど理解することで、自分がどのような方法で治療したいのか、何を望んでいるのかを導き出すことが出来ます。

 

クリニック選びは慎重に

クリニックの雰囲気がなんとなく良さそう、通いやすそう、知らない人に合わなさそう、費用が安いなど安易な理由でクリニックを選択しないでください。医師との相性や親身になって相談に乗ってくれるか、自分が望む治療法を提示してくれるかなどあらゆる方向から検討しましょう。

 

信頼できる病院での治療を

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信頼できる病院での治療を大前提に、自分に合った病院を選んでいきましょう。

自分の中で薄毛治療において何が一番大切か、何を望んでいるのか明確に書き出し、いくつかのクリニックを訪ねてみてはいかがでしょうか。大抵のクリニックは無料カウンセリングを行っていますので、相談してみることをおすすめします。HPや誌面上での広告とは違い、直接クリニックの雰囲気や医師との相性をつかむことが出来るはずです。ただし、しつこく勧誘をしてくるところは要注意ですので、きっぱりと断り、再度新しい病院を見つけて、納得のいくクリニックで、理想のヘアスタイルを手に入れましょう。

「AGA・薄毛」について
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